晴れ晴れした笑顔のセーラはマオを全く恐れない。
彼が魔王らしい凶行に至るかもしれないなんて色眼鏡で見なければ、恐れる要素など一つもない。
マオは見目麗しい可愛い子だ。
「私も、いい子だねって言われて育ったから。マオにもそうしてあげたい」
セーラも亡き両親にいい子だねと、たくさん言ってもらって育った。いつもどんな時もいい子だと言ってくれた。
アイビンはふっと笑って、セーラに一つ頭を下げた。
「聖女様の善行を極める道には恐れ入ります。魔王を育てる決意など私には到底できません」
「え、そんな大層なものじゃないよ?私の国の人なら
赤ちゃんに楔を刺して殺すか、
子育てするか選べって言われたら、
大半の人は子育てするよ。だって殺人なんてできない」
「聖女様のいた国には聖人ばかりなのですね。この島国では100人いれば100人が楔をぶっ刺します」
杖を持ったアイビンがうんうんと至極納得と、首を縦に振りまくる。
セーラは笑顔を張りつける。
(私の判断、普通だけどね!!)



