セーラが何しても可愛いで締めくくるマオにからかわれているようで、カッと顔に熱を溜めたセーラが飛びつく。セーラが飛びつくと、その勢いのままマオはわざと後ろにスッ転んでやった。
「あ!」
ドシンと背中から床に倒れたマオの腹の上にセーラが覆いかぶさった。マオの意図した通りの体位になる。
「マオごめん!痛かった?!」
「全然痛くないよ。ちょっとこのまま抱っこしてもいい?」
マオの胸の上に乗っかってしまって、マオと顔の距離が絶妙に近づいてしまった。セーラは顔に血が巡って、どうしてこんなことにとあわあわ口をぱくつかせた。声が出ないセーラを熱く見つめる金色の瞳が細くなる。
「嫌だったら止めるから、言ってね」
耳の奥を震わせる真剣な声に、セーラにもわかった。きっとマオは本当にやめてくれる。マオはやり直させてと言ったあの日からきっちり線引きをして、過度な触れあいは全くしてこない。
押し倒してしまったのがセーラの状況の今でも、金色の瞳の奥に欲情を漂わせながらも、マオの言葉には理性が効いている。
あの愛烈なえっちラブレターの主とはとても思えない。



