この1年でセーラは学んだ。
子ども(魔王)を思い通りに動かそうと思うとムリ。そのまま受け入れるのが吉である。
「ギャアアアア!」
マオは特別成長が早い体質だ。
1歳にしてすでに2歳くらいの身体の大きさをしている。
しかも、マオが泣くとあちこちになぜかドカンドカン穴が開く。今も花畑のあちこちの地面がボコボコへこんで、花畑を荒らしまくっている。
花畑が魔王の癇癪によって崩壊していく様に、アイビンが眉をヒクつかせる。
「マオの魔法の才能は恐怖すら覚えて……笑えません」
「褒めた?褒めたよね、ほらマオって天才だから!」
「魔王だからです」
「ちょっとアイビン!その発言は教育的指導だよ!?」
「何ですか?私は事実を」
アイビンはマオの異常な成長速度や、まだ1歳にして強い魔法を発動させる様を見て都度都度、苦言を述べた。
だが、セーラは眉をひそめるアイビンの心配を横目に、天才だな!と自慢する。
「子育てってのはポジティブな変換が命なの!」
「はい?」
セーラは周りがぞくぞくと結婚出産を経験していくアラサーである。友人から聞かされる子育て節によって、聞きかじりに子育て知識だけはあった。
セーラは指先を一本ピンと立ててアイビンにウインクして極意を語る。
「うるさい子は、元気で良いね!
気が散る子は、好奇心いっぱいで良いね!
魔王なら、天才でいいね!っていうの!
つまりマオは天才でいい子!」



