ビンビンの背後に突然響いたマオの声に、ビンビンの肩がビクリと跳び上がった。
思考が深くなり過ぎて自動運転していたビンビンは、いつの間にか湯から上がって着替えも済んで宿屋の廊下に突っ立っていた。
ビンビンがゆっくり振り向くと、同じく湯から上がったのだろうマオが立っている。
セーラはマオの隣できょとんと首を傾げた。マオがビンビンに優しく声をかける。
「どうかした?顔色が悪く見えたけど」
ビンビンは見慣れたマオの笑顔に背筋が冷えた。胸に湧く不穏を飲み込んで首を振る。
「い、いえ」
「もう遅いから、今日は聖女屋敷じゃなくてここに泊まって。でも僕は夜に用事があるから、セーラの護衛を頼める?」
「もちろんです」



