さっきまでマオの魔法で村の上だけは晴れていたはずなのに、急な豪雨である。
ちゃっかり自分の頭上だけ魔法で雨を避けたビンビンが、瓶底眼鏡を持ち上げて淡々と言った。
「マオ様の魔法制御が狂ったみたいですね」
しっかり雨に降られて濡れたセーラがビンビンを見るとふっと笑う。
(セーラ、不意打ちはやめて欲しい……僕も!僕も!大好きだけど!!)
両手で顔を覆ったマオが耳全部を赤くして雨に打たれる様が珍しくて、ずぶ濡れになった作業員たちは顔を見合わせた。
濡れてしまった身体を温めるために、マオが急いで魔法で修復した宿屋へと駆け込むことになってしまった。



