マオがセーラを召喚するためだけに石化魔王になったとは、セーラはどうしても思えない。
誰も大きな声では言わないが、石化魔王のおかげでメリットもあったのだ。お仕事参観で得た貴重な情報だった。
(まさか石にすることで得るメリットを狙ってるとかってありえる?)
セーラはマオがただ悪ではない情報が出てきて、明るい気持ちが胸を占めていった。
(マオならありえる気がする!)
マオがいい子だとセーラは今でも信じ続けてる。
授業参観ならぬ、お仕事参観なので、作業中にたまに手を振って笑いかけてくるマオにセーラは全力で手を振り返す。
(僕頑張ってるよ見て見てってしてるの可愛い)
石化魔王の功績を知って嬉しくなったセーラはついつい盛り上がる。授業参観でやってはいけない声かけをやってしまった。
「マオー!お仕事してるのかっこいいー!大好きー!」
作業員たちにもマオにもしっかり聞こえる声量で、セーラの大好きが響いた瞬間。
セーラの上に雨がザッと降り注いだ。
「あれ?なんで雨?」



