マオが笑い、セーラを一つ一つ大事にしてくれて、セーラの胸が温かくなる。こうやって人のことを考えて行動してくれるところが、マオは優しいのだ。
(いやいや!!さっきまで、聖女様の行動制限するために、足を透明にする魔法かけてましたよ?もうお忘れで?!)
賢い召喚士ビンビンはふわふわ良い雰囲気のお二人を見て口を噤んだ。セーラはマオの良いところしか見えない魔法にでもかかっているようだ。
だが、聖女はああ見えて正常だ。
(聖女様は懐が海より深い……!)
慄くビンビンは置き去りである。セーラに褒められてご機嫌に金色の目が細くなったマオを作業員たちが呼んだ。
「マオ様もこちらで休憩をどうぞ!お茶を用意しますぞ!」
「ああ、ご馳走になるよ」
今日もしとしとと雨が降っているが、村の復興作業のためにマオが村の上の雲だけを割って晴れさせていた。
村の端に集まって休憩する作業員たちの輪に入って、セーラを連れたマオがにこやかに外ツラで対応する。
「ややや!聖女様がこんなところに来られるとは!」
「生きているうちに黒髪、黒目の宝のような方に会えるなんて!」
「なんて幸運!」
「ど、どうも」



