「いや、マオが悪いとかじゃなくて、事実だから」
マオはセーラの力を入れれば折れてしまいそうな肋骨に掌を添えて持ち上げて、きちんと優しくベッドサイドから足を垂らして座らせた。
「セーラ、思考と事実は違うんだ。
セーラが勝手にそう思い込んでるだけで、それは事実ではないよ」
ひょいひょいと脇腹を持ってあっちこっちに移動させられるセーラは、マオの手には本当に軽いもののようだ。
大事に大事に扱われて、その優しい行為に自分が高尚なもののように思えてくる。
「僕の不安ばっかり押し付けてしまったね」
ただ欲しがるのは子どものやり方だ。だが、マオはきちんと身を引いて真摯に謝る。
「ごめんね、セーラ。僕が子どもだった」



