再び異世界?!─平凡聖女の育てた少年が、年上魔公爵になって貫く健気過ぎる激重純愛♡─


「私一人いなくなっても誰も困らない。それくらい私って意味のない存在でね。

もうすぐ30歳を、私の世界ではアラサーなんて言うんだけど。アラサーの純潔なんて、出し渋るほど高尚なものでもないんだよ?」

「ごめんセーラ。僕、一生懸命セーラの話を聞いたつもりだったんだけど、何言ってるかちょっとわからない」

「え?」


セーラが顔を上げてマオの顔を見つめる。マオの眉間にはまた皺が入っていたが、その表情からは寂しさではなく怒りがこみ上げていた。


「セーラは尊いよ。セーラの純潔が無価値だなんてありえない」

「マオ?そんなただの事実に怒らなくても」

「僕の大事なものを貶されて怒らないわけないでしょ?」


マオはセーラの頬に壊れ物に触れるように優しく触れた。


「でも、僕が安易に純潔なんて欲しがったから……セーラに自分なんて価値がないって思わせたのかなって、反省した。

僕が完全に、悪かった」