大人になったマオに、セーラの小ささと無価値さを語るのは情けない。
マオの中でスーパー聖女でい続けたかった。でも身体を重ねる限りは、セーラだって正直でいたい。
マオが渇望する純潔にそれほどの価値もないってわかれば、マオだって石化魔王なんて暴挙は止めるかもしれない。
(憧れた女性の本当の姿を見て、100年の恋も冷める。なんてよくある話だからね)
セーラはマオの膝の上で、マオに正直に語った。
「私って無価値なの。だって、元の世界に私を引き止めてくれる人なんて一人もいないんだから」
元の世界に帰れなくなるよと言われても、セーラには何の未練もなかった。
元の世界の両親は亡くなっていて、仕事も友だちも趣味も「なんとなく」なものだけだ。不満もないけど、意味もない。
セーラはそんな平凡で空っぽな人間だ。



