マオはセーラがここにいることを確かめるようにぎゅうと優しく両腕で抱き締める。マオの胸に真正面からきっちり抱き締められて、セーラの胸にコンコンと内側から音が鳴る。
幼いマオには感じることのなかった緊張が走って腰が疼いた。
「僕みたいな狂暴な男が抱いたら、セーラが壊れてしまうかもしれないって心配だよ」
「そんなに大事に大事に言われると弱くて可愛いものみたいだけど、私にそんな価値はないよ?マオ」
「セーラに、価値がない?」
セーラがマオの胸元でボソボソと語ったことに、まるで合点がいかないマオはセーラを抱き締める腕を緩めた。
膝の上に乗ったセーラは顔をマオを見つめて心の底から何の陰りもなく、事実として淡々と言葉を重ねる。
「小さなマオから見たら、私って聖女って肩書で偉そうで、保護者で強いものに見えたんだと思う。
でも現実の私は全然違う」



