マオは吸い寄せられるようにセーラの細い脇腹に男らしい手を添えた。触れていいと言われて触れるのに、手が細かく震えた。こんな高尚なものに触れたことはないからだ。
「セーラは細いね」
「そう、かな?」
胸はペラいが現代の日本女性としては通常な体つきだ。だが、マオが指を添えて掴むと手の平だけで腹部が覆えそうだった。
「お腹ぺらぺらだね、中身入ってる?」
「たぶん」
マオが素肌の腹に触れるのがくすぐったくて、セーラがピクリと身体を捩るとマオがうっとり笑う。マオは腹部に添えて掴んだ手を上の方にズラして、セーラの肋骨を素肌の上から掴む。
「僕が少し力を入れたら、この肋骨を一瞬でバキバキに砕いてしまえるよ」
「さすがに、それはない。こんな時でも魔王ジョーク忘れないなんてさすが!」
セーラが冗談だと思ってきゃらきゃら笑うので、マオはつられたふりをして目を細めた。だが、冗談では済まされない。マオがセーラの肋骨を覆った手の平でバキバキにするのは本当に簡単だ。
それくらい、セーラは華奢な体だと手の平が教えてくれた。
「セーラはこんなに細くて、小さくて、可愛いんだね。夢の中じゃわからなかった」
「夢?」



