マオの眉間に寄る皺が、マオが一人で過ごした苦渋に満ちた100年を示していた。セーラの中を色んな思いが駆け巡る。
赤ちゃんの頃から世話した男の子とそんなことして倫理的にいいものか、もう知らない男性の身体をしているマオと繋がって関係おかしくなったらどうしよう。
「もうどこにも行かないで、お願いセーラ」
マオの切羽詰まった声が弱々しくて、セーラの胸がくすぐられた。
セーラの中に逡巡があったはずなのに、マオのその眉間の皺に刻まれた深い悲しみを前にすれば全て吹っ飛んでしまった。
「もうどこにもいかないよ。全部、私のマオにあげるから、泣かないでマオ」
セーラの優しい声と優しい微笑みに、マオの金色の瞳の中の瞳孔が見開いた。
(マオに悲しい顔をさせたのは私の責任で、マオが石化魔王なんてやっているのは全部、私の落ち度だ)



