セーラが階段を下りていくと、ちょうどマオが玄関に帰ってきたところだった。

セーラを見つけたマオがキラキラ可愛く笑う。


「セーラ、ただいま」

「マオ、濡れたの?」

「町の人が手を貸して欲しいっていうから、手伝ってたんだ。そしたらうっかり濡れてしまって」


出迎えに玄関で立つデュオからセーラはタオルを受け取った。マオが拭いてくださいと頭を垂れる。


セーラは従順なマオの濡れた金色猫毛をタオルでわしゃわしゃと拭いてやる。

マオが気持ちよさそうに目を細めるのがとても可愛い。


「人助けをしてて、濡れて帰って来ちゃったの?いい子過ぎるんだけど……!」

「セーラが僕のこと褒めてくれるの大好き」


マオがセーラに頭を拭かれて、恍惚な声を出して笑う。


セーラはマオがいい子だと知っている。

賢くて時間をかけて計画をこなすことのできる策略家だと知っている。


ただの策略家ではなく、彼は「セーラのことが大好きな」策略家なのだ。


(人を傷つけないって約束を……マオが自分勝手に破るとはどうしても思えない。マオが石化魔王やってるのには何か、裏がある気がする)

「セーラ、聞いてる?」

「え、あ、ごめん何?」