「アグナヴァン様、申し訳ありませんが、パストマン教授への連絡は頼めますか?」
「……ああ、もちろんだ。あなたがあちらの王国に戻る旨を伝えておこう」
「ええ……でも、王国にはどうやって入りましょうか? よく考えてみれば、私罪人だからあちらの王国に入れないのですけど」
「その辺りも、こちらでなんとかしよう。そもそも、聖女ホーネリアの悪事が暴かれた今、あなたの罪はそれ程重要視されないとは思うが」
「そうですか……」

 私は、アグナヴァン様の言葉を聞きながら少し考えていた。
 ホーネリアは牢に入れられたようだが、どうしているのだろうか。
 彼女が、簡単に諦めるようには思えない。何か策略でも企てているのではないだろうか。

「……彼女の様子も、確かめなければなりませんね。私が、あちらの王国に行くべき理由は、案外あるのかもしれません」
「……そうか」

 私は、ホーネリアにこれ以上好きなようにさせたくはなかった。
 彼女との決着をつけるためにも、私はドルマニア王国に向かわなければならないのだ。