「毎月1の付く日はたくさんの方が参拝に来られます。昨日も夜も遅くまで開門していたんですよ」
「そうなんですか。こちら立地もいいですよね」
「駅上ですからね。……熱心に祈念されていましたね」
「あ、はい。ただただ娘の健康と幸せをと」
「娘さんがいらっしゃるんですか?」
「はい。3歳になります」
「うちの息子と同じだ。幼稚園から帰ったらいつもあそこで遊んでいますよ」

 そう言って、寺務所から目の届くところにあるブランコに目を向けた。
 装飾のない簡素なブランコが境内の隅っこにひっそりと存在していた。

「ブランコ、いいですね。いつもお父さんの傍で……目の届くところで遊べると安心ですものね」
「お近くですか?」
「自宅ですか? ここは自宅からだと……自転車で15分くらいかな」
「もしよろしければ、また娘さんとお越しください。お参りの間、ここで待てますから」

 そう言ってお坊さんはにっこり笑った。

 あれ? 誰かに似てる??
 そうだ、祖母の初恋の人だ!

 でもそれって当たり前か。きっとこの人は祖母の初恋の人のお孫さんだ。似ていて当然だろう。

「……ありがとうございます。今度連れてきます」

 これも縁なんだろうな……。
 祖母が生きていたらびっくりするかな。
 でも喜んでくれるかもしれない。