元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました

「衣装ケース一つ分だけ残すことにしましょう。そこに収まらないものは、もう思い切って処分しなきゃね」

 なるほど。先に保管場所を決めておくのか。遺品整理も整理整頓の基本を守るってことね。

 叔母が来てくれたことによって大幅に効率が上がり、午後4時には遺すものが決定した。

 大部分は処分するものになったので、ゴミ袋がいくつも積み重ねられている。

 明日はちょうどゴミの日だが、ゴミ袋をゴミ収集室に出せるのは18時以降という決まりがある。

「すごい数ね……。これ一人で運べる? 夜にでも大輝に来させようか?」
「あとで悠太に来てもらうわ。あの子もう私より大きいし。結構力持ちなのよ」
「ああ、悠ちゃんが来てくれるのなら大丈夫ね」

 ゴミ袋の山から、衣装ケースに目を向けると、祖母の遺品がぴったりと収まっている。
 その半分くらいはアルバムだった。

 叔母も私も、物より写真の方が処分しにくいということに整理をしはじめてすぐに気づいた。
 これを誰かが見るとは思えないんだけど、でもやっぱり何十年も前の大切な写真を、娘と孫が勝手に棄てていいものではないと思う。

「そういえばさっき、おばあちゃんの若い頃のアルバムがあったことに驚いたわ」
「あら、見たことなかったの? まだ写真がセピア色の頃よね。…………これこれ」

 そう言って、叔母が一冊のアルバムを取り上げた。
 それはアルバムというよりは、スクラップブックに近い物だった。
 紙に糊で写真を貼り付けただけのアルバムだ。