――――どんぐり飴を見ていたら、つい昔の思い出に浸ってしまったな。
 

 ボーッとしている間に、口の中に突如現れた飴玉は少し小さくなっていた。

 飴が小さくなるってことは、これは夢じゃないのか?
 一向にレストランに戻らないし……。

 試しに頬をつねってみた。

 (痛い……?)

 痛いということは夢じゃないのか?
 それより、俺の頬ってこんなに柔らかかったか?
 一日の終わりだというのに、いつも生えてきている髭も感じられず、今日は妙にすべすべしている。
 このリビングのどこかに鏡はないだろうかと探してみる。

 ポリッ

 小さくなり始めた飴がどうも気になる。
 昔から甘い飴を口の中に入れているのが苦手で、すぐに噛んでしまう癖があった。

 ポリッ ポリッ
 
 明かりの点いていないリビングを見ると、テレビ台の上にリダイニングの光を反射しているものがあった。鏡だろうか?

 暗がりの中で取り上げてみると、それは鏡ではなく写真立てだった。

 (女の子?)

 小さな女の子の写真だ。
 写真立ては全部で三つ。全て同じ女の子の写真だ。
 撮られた年齢が違うのだろう。女の子の大きさが左から右へと徐々に大きくなっている。

 この部屋に住んでいる子供なのだろうか?
 一体ここはどこなんだ。


 ――――――――そこで俺の意識はフッと途切れた。