四十九日の法要が終わり、私たちは籍を入れた。

 マンションのリフォームも終わり、祖母が使っていた和室は無垢のウォルナットを天井と床に張った、木の温もりが感じられる寝室に生まれ変わった。

 その部屋の半分以上を占めるのが新たに購入したダブルベッドだ。

「ひなと杏子と川の字になって寝られるなんて夢みたいだ」

 晴れて夫となった鷹也が感動を噛みしめている。

「パパはここ、ママはここ、ひなはまんなかー」
「ひな、パパが絵本を読んでやろう」
「わーい! じゃあきょうはこれ!」

 そう言って持ってきたのは『いいから、いいから』というほっこりするおじいちゃんのお話だ。
 鷹也は張り切って情感たっぷりに読み上げ「いいから、いいから!」と二人でハモっている。
 本当に見ていて微笑ましい。

 ……でも私は知っている。この後起こることを。
 絵本を読み聞かせているうちに寝てしまった父と娘。
 さあ、ここからだ。