鷹也と最後に会ってから4年の月日が経っていた。
 もう会うこともないだろうと思っていたのに、何故私が鷹也になってるの⁉


 ◇ ◇ ◇
 

 学生時代、私たちは大阪府内で唯一の国立高校の同じ校舎に通っていた。

 中学では同じクラスになったことのなかった鷹也と、初めて同じクラスになったのが高校一年の時だった。
 
 『和久井』という名字はたいてい出席番号の最後の方になることが多い。
 だから、どの学年でも一学期の私の席は窓際の一番後ろになることが多かった。

 高校一年の一学期も窓際の一番後ろの席だった私は、『森勢』の鷹也とたまたま隣り合わせになった。
 
 男子にしてはきれいな顔をしているのに残念なくらいいつも無愛想で、目つきが鋭い。
 それが鷹也の第一印象。決して良い印象ではなかった。
 
 そんな無愛想な鷹也の印象がガラッと変わる事件があったのはゴールデンウィークが明けた頃。

 学校の帰り道、私は保育園児数人と二人の保育士さんが近所の公園まで歩いて行く列に出くわした。

 お散歩カートには四人の子供が入っていて、一人の保育士が押していた。
 もう一人の保育士は、カートの中の子供達より少し大きな子供を両手に二人ずつ連れていた。

 わぁ……保育士さんって大変そう、と通り過ぎるのを眺めていたら、手をつなでいた端の子供が車道に向けて頭から盛大に転けてしまった。