「じゃあ、まずお話してきた方がいいわね。お父さんも私も、杏子ちゃんが苦労するくらいなら結婚なんてしなくてもいいんじゃないかって思っているの。鷹也くんはたしかにひなちゃんの父親かもしれないけれど、結婚しなくてもひなちゃんの父親でいられるわけでしょう?」
「いや! 俺は杏子と結婚したいんです。高校時代からずっと、結婚は杏子としか考えていません」
「鷹也……」
「杏子ちゃん、プロポーズされたの?」
「え」

 知美さんがニヤニヤしながら突然私に振ってきた。

「ま、まあ、その……うん」
「あら素敵」

 知美さんがコソッと私にしか聞こえない声で「今度お父さんに悠太とひなちゃん預けて女子会しましょ」と言ってウインクした。

 この義母は色々と聞き出したくてうずうずしているようだ。

「コホン……二人がいいならそれでいい。ひなも納得しているようだし……。しかしご両親にはちゃんと伝えなさい。話はそれからだ」