不動産屋の後は、ずっと気になっていた出産祝いを持って、従兄に会いに行くことにした。
俺がアメリカに行っている間に第一子が生まれ、帰国の直前に第二子が生まれた。
だからまだどちらの子供にも会っていなかった。
結局、出産祝いは百貨店の子供服売り場でお揃いになる服を選んでもらった。
初めて姪と甥に会うのだ。どちらにもプレゼントが必要だろう。
俺は久しぶりに母の実家を訪れた。
母の実家は藤嗣寺という寺の住職をやっている。
従兄は寺の敷地内に建てられた住居の離れに住んでいた。
寺の門を前に一礼する。
門をくぐると、以前来たときと全く変わらない風景がそこにあった。
「久しぶりだな……」
ここは都会のど真ん中にある寺だ。
周りは1年と同じ景色を保てない中、一歩境内に入ると全く時の流れを感じることがない。
「まあ、寺ってそういう所だよな」
寺務所をのぞいてみると、従兄の光希が電話に出ていた。
コンコンとガラス窓を叩く。
すると光希が驚いたように顔をあげた。
気づいたようだが、電話を切るまで待ってくれという仕草をする。
俺は待っている間、常香炉まで行き、舞い上がってくる煙に紙袋を下げたままの手をかざした。
俺がアメリカに行っている間に第一子が生まれ、帰国の直前に第二子が生まれた。
だからまだどちらの子供にも会っていなかった。
結局、出産祝いは百貨店の子供服売り場でお揃いになる服を選んでもらった。
初めて姪と甥に会うのだ。どちらにもプレゼントが必要だろう。
俺は久しぶりに母の実家を訪れた。
母の実家は藤嗣寺という寺の住職をやっている。
従兄は寺の敷地内に建てられた住居の離れに住んでいた。
寺の門を前に一礼する。
門をくぐると、以前来たときと全く変わらない風景がそこにあった。
「久しぶりだな……」
ここは都会のど真ん中にある寺だ。
周りは1年と同じ景色を保てない中、一歩境内に入ると全く時の流れを感じることがない。
「まあ、寺ってそういう所だよな」
寺務所をのぞいてみると、従兄の光希が電話に出ていた。
コンコンとガラス窓を叩く。
すると光希が驚いたように顔をあげた。
気づいたようだが、電話を切るまで待ってくれという仕草をする。
俺は待っている間、常香炉まで行き、舞い上がってくる煙に紙袋を下げたままの手をかざした。