2週間ぶりの実家。
当然だけど、なにも変わってはいない。
でも、静かな病室に1人でいるより、よっぽどいい。
病院にいる間は、自分の余命ばかり考えていた。
どれだけ考えても、寿命は延びるわけないのにーー。
「お母さん、ニット帽ありがとうね」
テーブルの上に、ニット帽を置いた。
髪の毛は、もちろんない。
それでも、家にいるときは本来の自分で過ごしたいから。
ここにいれば、髪の毛のことを言ってくる人もいないもの。
だから大丈夫。
「寒くない?」
「うん、平気。部屋、あったかいもん」
「そう……。今日は、葵の食べたい夕食にしようと思うの」
キッチンでお茶を淹れながら、母がそう言う。
食べたい物、か。
正直なところ、今は特になにもない。
入院中も毎日違う献立で、身体にいい食事ばかりを提供してくれていたけれど毎食4割程しか食べれなかった。
申し訳ないと思いつつも、身体が食べ物をあまり受け付けなかったから。
「葵?」
「あ、うん。なんか……温かいうどんとかでいいかな」
「わかったわ。鍋焼きにしようかしら」
私のリクエストを聞くと、母は冷蔵庫を物色し始める。
食欲は、まだ戻っていない。
多分、うどんですらも完食はできないと思う。
まだこんな調子なのに、土曜日の約束……どうしよう。
当然だけど、なにも変わってはいない。
でも、静かな病室に1人でいるより、よっぽどいい。
病院にいる間は、自分の余命ばかり考えていた。
どれだけ考えても、寿命は延びるわけないのにーー。
「お母さん、ニット帽ありがとうね」
テーブルの上に、ニット帽を置いた。
髪の毛は、もちろんない。
それでも、家にいるときは本来の自分で過ごしたいから。
ここにいれば、髪の毛のことを言ってくる人もいないもの。
だから大丈夫。
「寒くない?」
「うん、平気。部屋、あったかいもん」
「そう……。今日は、葵の食べたい夕食にしようと思うの」
キッチンでお茶を淹れながら、母がそう言う。
食べたい物、か。
正直なところ、今は特になにもない。
入院中も毎日違う献立で、身体にいい食事ばかりを提供してくれていたけれど毎食4割程しか食べれなかった。
申し訳ないと思いつつも、身体が食べ物をあまり受け付けなかったから。
「葵?」
「あ、うん。なんか……温かいうどんとかでいいかな」
「わかったわ。鍋焼きにしようかしら」
私のリクエストを聞くと、母は冷蔵庫を物色し始める。
食欲は、まだ戻っていない。
多分、うどんですらも完食はできないと思う。
まだこんな調子なのに、土曜日の約束……どうしよう。