二人っきり……じゃない!?

 私が言いかけると、朝比くんはピタッと足を止めた。

「……やっぱ、聞いてた?」

 真っ赤な顔でこっちを向いた朝比くんにつられて、私までちょっと赤くなりながら小さくうなずく。

「しまったなー、つい口走ったわ。こんなところで言うつもりじゃ、なかったんだけど」

 一度あはは、と笑ってから、朝比くんは真剣な顔になった。

「紅月。俺はずっと、紅月のことが……好きだ」

 朝比くんは一つ一つ言葉を選ぶように、続ける。

「いつも明るくて、頑張り屋で、だけどこうやって弱いとこもあって。いろんな紅月を見るたびに、どんどん好きになってく」

 まっすぐに私を見つめてくる朝比くんの瞳から、目が離せない。

 心臓が、苦しいくらいにドキドキしている。

「紅月。俺と……付き合ってくれ!」

 その言葉を聞いた瞬間、心臓がひときわ大きな音を立てた。

「わ……私も、朝比くんが好き、です」

 それだけどうにか言葉を絞り出すと。

 次の瞬間、私は再び朝比くんの腕の中にいた。

「すっげえうれしい。両想いって、こんなにうれしいんだな」

 朝比くんの声が、私の耳のすぐ近くでする。

 私も恐る恐る朝比くんの背中に腕を回すと、さらに強く抱きしめられた。

 だけどそれは、大事なものを扱うようなやさしさもあって、なんというか、すごく安心する。

 でも、ずっとこんなことをしているわけにもいかない。

 離れたくないな、と思いながら、私たちは隣に並んで再び歩き出す。

 すると、朝比くんは。

「……手、つないでもいい?」

 そう言って、遠慮がちに手を差し出してきた。

「う、うんっ!」

 私もこくこくとうなずいて、朝比くんの手に自分の手を重ね合わせた。

 さっきはあんなにも知らない場所が怖かったのに。

 朝比くんが隣にいる、というだけで、何倍にも素敵なものに感じるんだ。