どどどどうしよう、どうしよう!

 ……そうだ、このあとお昼ご飯を食べる予定の湯豆腐屋さんに行けば、落ち合えるんじゃない?

 たしか、八つ橋屋さんの角を左に曲がったところだったはず。

 大丈夫、きっと会える。

 自分を落ち着かせて、私は歩き出した。

 あった! 八つ橋屋さん!

 私はほっとして、その角を曲がる。

 だけど。

 歩いても歩いても、湯豆腐屋さんは見つからない。

 あ、あれ、おかしいな。

 もしかして、別の八つ橋屋さんだった……とか?

 ありえない話じゃない。

 だって、あの通りにはいろいろな八つ橋屋さんがあったから。

 ……引き返そう、とりあえず。

 そう思って振り向くと……、そこにはちょうどY字型の分かれ道が。

 わ、私って、どっちから来たっけ……?

 どうしよう、全然知らない通りに来ちゃったよ。

 私は呆然としながら空を仰ぐ。

 見知らぬ場所で、一人っきり。

 不安に押しつぶされそうになって、涙のにじんできた目をぎゅっとつむる……と、そのとき。

「一人でどうしたの? 君も修学旅行?」