「はぐれなくていいって、言ったのに……」

 漬物屋さんから出た私、紅月香帆は、外で待っていたはずの二人の姿がなくなっているのを見て、思わずそうつぶやいた。

 修学旅行1日目。清水寺をクラスで見学したあとの、お土産探しの時間。

 私のお土産班は、親友の美花、その彼氏の村上くんと、村上くんの友達である朝比くんの四人。

 美花は、私が朝比くんのことを……す、好きだってことを知っているから、班決めの後にこそっと『私たち、はぐれてあげるね!』なんて耳打ちしてきた。

 私はちゃんと断った……はずなんだけど、わたしと朝比くんが漬物屋さんに行っている間に、どうやら村上くんと一緒にどこかへ行ってしまったみたい。

 しょうがないなあ、と思いつつ、ちょっとそわそわしながらお店にいるはずの朝比くんを探す。

 ……いない。

 え?

 ちょっと待って、どういうこと?

 もう一度外に出てみるけれど、見慣れたメンバーはいない。

 まさかこれって、ガチではぐれたんじゃ……!?

 やばい。私、家で充電し忘れたせいで、スマホの充電がゼロなんだよ~っ!