赤信号で車を止めた太郎さんに、 私は口を開いた。 「翼君……彼女の所に行ったんですか?」 私の質問に、太郎さんは視線を外に向けた。 「そんなこと俺が知るわけないだろ」 「嘘……。翼君と彼女の電話聞いてたでしょ?」 確信のある私の言葉で、太郎さんは視線を私に向けた。 「ごめん、俺が行かせた」 思いもよらぬ太郎さんの言葉に驚いた私は、目を大きくした。 どうして? どうして太郎さんが……? 私が翼君を好きって知ってたのに。 知ってたから……?