「遅かったな。剛史が怒ってたぞ」 「兄さんが? 初めに断ってたのに、急にバイトしろなんて言うから」 「まぁ、いいじゃないか。 クリスマスくらい手伝ってやれ」 「たくっ、俺だって忙しいのに」 なになに? このおじさんと無愛想男は親子なの? 剛史って? せっかく翼君色に染まっていた胸の中は、 無愛想男によって知らず知らずのうちに黒く染められていた。 そんな私の頭の中の質問に答えてくれるかのように、 緑色のエプロンを着けた男の人がドアの向こうから息を切らせて入ってきた。