「あ、わりぃ……」
なにっ、この人!!
全然悪いと思ってない!!
ドアの向こうから入ってきた無愛想な男。
一瞬私の顔を見て謝り、無表情なままドアを閉めた。
なんなのよ~!!
怒りが露わになりそうになった私に、翼君が声をかけてくれた。
「大丈夫?」
「う、うん。大丈夫」
も~、最悪。
あいつ、一体何者なのよ!?
無愛想な男は、今どきではあり得ないダサい黒縁メガネをかけて、爽やかとは程遠い雰囲気の大学生っぽい人だった。
ドカドカと入ってきたと思ったら、部屋の奥で机に向って座っていたおじさんと何か話し込んでる。
私はその男の正体を知りたくて、二人の会話に聞き耳を立てた。

