修学旅行2日目。


今日の行先はテーマパーク。


「んー!ついたぁー!」


わたしはバスから降りて伸びをする。


「昨日とおんなじじゃん」


先にバスから降りた優くんがふわっと笑った。


なんか久しぶりだな。


夜に会ってないだけなのに、その笑顔が久しぶりに感じる。


「んー!」


わたしと同じように伸びをする優くん。


ギュッと目を閉じるその姿に、わたしの心臓もギュッとなる。


「みゆの真似してみた」


「っ、からかってるでしょ、」


「うん、からかってる」


「もう...!」


相変わらずなわたし達のもとに、桜と委員長がやってくる。


よし、行こ!


と、わたしが声をかけようとしたその時。


「ねぇ桜ちゃん、いーんちょー」


優くんが2人を呼び止めた。


「ん?なに?」


「どうしました宮野くん?」


大きく息を吸ったあと、いつになく言葉を区切ってゆっくりと言う優くん。


「あのさ、みゆと、2人でまわりたい」


「...はい?え?」


いきなり呼ばれたわたしはびっくり。


というか、優くんの言葉の意味がわからないんだけど。


どういうこと?


すると桜と委員長がニヤニヤしはじめる。


「うん、だと思ったよね委員長」


「これはもう送り出すしかないですね。宮野くん、男気見せてくださいよ」


「いーんちょーにそれ言われたくないんだけど」


「宮野くんあなた男気ないですから」


「いーんちょーもう黙って」


進んでいく会話にわたしはキョトン。


「あのー、つまり...?」


そう言ったところで、優くんの綺麗な指がわたしのほっぺをプニっと掴む。


「へ?」


「みゆと僕、2人でまわるってこと。行くよ」


わたしのほっぺから手を離してひとりで歩いていく優くん。


「へ、なに、どゆこと...桜たちは!?」


桜と委員長の方を見ると、ニヤケているというよりは、まるで天使のような微笑みを浮かべている2人。


「早く行かないと、宮野くんに置いていかれちゃいますよ?」


「みゆちゃん楽しんでおいで」


えぇぇ...。


でも2人がせっかく言ってくれてるんだし。


最終日、楽しむって決めたから。


「...うん、ありがと、行ってくる...!」


わたしは優くんの後を追いかけた。