唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています

「雪璃、俺だけを見てろ」


「……はい」


優しいけれど、普段よりも低い声で私の名前を呼ぶ。

雷雨様から目をそらせない。


吸血をしているとき、雷雨様の瞳は赤くなる。まるで血の色みたいで、とても綺麗だ。


月が紅くなる日があるけれど、その月に負けないくらい雷雨様の目も素敵で。それを本人に伝えるのは恥ずかしい。でも、契約をしている私たちは繋がっている。


「俺の瞳を褒めてくれるのは嬉しいが、俺は雪璃の目の方が好きだ。サファイアと同じ青い瞳は、毎日見ていても飽きないくらい綺麗だぞ」


「うっ……」


心までも持っていかれそうになる。


唯一の血になる契約をしたとき、お互いの血を舐めた。そのせいもあって、ヴァンパイアである雷雨様は私の考えていることが血を通してわかるのだ。

人間の私は契約を交わしても尚、人であることは変わらないので、そんな能力はない。


私だけが見透かされていて、不公平だ。


「言ってみろ。お前の主人は誰だ?」


「ら、雷雨、様……です」


「今日のお仕置きはここまでだ。けど、俺が満足するまで楽しませてもらうぞ」


「そんなの聞いてな……っ」


さらに深く吸血される。私は余裕がなくて弄ばれているというのに、雷雨様は余裕って顔を見せる。

堕とされる、どこまでも。