唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています

「だから口開けろ。なっ?」


「う、うん。あ〜ん」


「素直な雪璃も可愛いな。……美味いか?」


「おいしい、です。私が恥ずかしい思いをしたんですから、雷雨(らいう)様にも同じ目に合わせてやります!」


私は勢いよくチーズハンバーグを雷雨様の口に入れた。


「あっっっ!!」


「す、すみません。雷雨様」


「普段は食べさせるのうまいのに、動揺しすぎ。まあ、そんな雪璃も可愛くて好きだけどな」


「か、可愛いを連呼しないでください」


お世辞だったとしても、何度も言われるとさすがに恥ずかしさがMAXで、どう反応していいかわからなくなる。


「雪璃には可愛い以外の言葉が見つからないんだ。美人よりも可愛い系だし。つーか、せっかく二人きりなら、その髪もほどいてみたら?」


「食事のときは邪魔になるから、あとでね」


「約束だからな?俺、雪璃のロングも好きなんだぜ」


「髪が長い子なら誰でもいいってこと?」


「雪璃は心配性だな。やっぱ、俺が他の子に声かけるのも嫌だったりする?」


「メイドとしてはご主人様が真面目に生きてくるほうが嬉しいです。貴方はヴァンパイアでもありますし、御曹司という自覚を忘れずに」


「金持ちなのは俺じゃなくて親父だからなぁ。それにつられて女が寄ってくるだけ。お金目的で俺に声をかけてくる女はあまり好きじゃない」


……知らなかった。たしかに言われてみればそうかもしれない。


雷雨様は女の子に声をかけるとき、お茶でもしない?だとか、自分お金ありますアピールは一度もしたことない。

たぶん、そういう部分もあって、私は雷雨様のことが好きなんだ。


雷雨様はお金持ちのお坊ちゃまやハイスペックなヴァンパイアとして見てほしいわけじゃない。

自分自身を好きでいてくれる人を探しているんだ。