唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています

「動揺してる雪璃もなかなかレアだな」


「か、からかわないで」


「ここには親父もいないし、なにも気にする必要はない。これは俺たちのデートなんだ。種族も違い、立場だって違うかもしれない。だけど、そんなのは所詮肩書き」


「そうは言っても……」


「俺は雪璃(せつ)をメイドとしてじゃなく、一人の可愛い女の子として見てる。これは二人だけの秘密のデートだろ?」


「っ……いつから秘密のデートになったのよ」


「そっちのほうがロマンチックだろ?女の子は秘密とかそういうの好きだと思ったんだが、俺の勘違いだったか?」


「……ばか」


悩んでいる雷雨様を見ながら、内心私は喜んでいた。

私だってメイドの前に一人の女の子。
女の子扱いされたら、すごく大事にされてるんだなって思うし。


秘密のデートって言われたらドキドキが止まらない。雷雨様と二人だけのデート。誰にも邪魔されない。


今は主人やメイドという上下関係もない。そんなの喜んで当たり前じゃない。バカ雷雨様。


仕事中にニヤケて旦那様に叱られたら雷雨様のせい、なんだからね?