唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています

「授業聞いて頭も使ったし、なんか食うか?」


「そうですね。私もお腹すいてきました」


「俺は雪璃(せつ)がいーな」


「それは後にしてくれる?」


まわりに人がいるのに、こんなところで吸血されるのは恥ずかしすぎる。


「雪璃が腹いっぱいじゃなきゃ倒れるしな。先に飯にするか。なに食おうかなぁ」


ヴァンパイアの食事は血だけではない。

昔は人間の食べるものは、ヴァンパイアにとって毒だの、砂の味がするだの言われていたが、現代のヴァンパイアは人間と変わらない食事をする。

そして、人間と同じように好き嫌いもある。


「この店のハンバーグは絶品なんだ。ヴァンパイア仲間に聞いたから間違いない。雪璃もハンバーグ好きだったよな?」


「えぇ」


「なら、ここにするか」


私がハンバーグ好きなの、覚えててくれた?


記憶力も人間の私とは全然違う。私も雷雨様との思い出は大人になっても忘れたくないな。