唯一の血である私はご主人様から今日も愛を囁かれています

「俺は雪璃のレアな笑顔も好きだぞ」


「レ、レア?」


「雪璃って滅多に表情が変わらないからさ。でも、これから行くところはきっと雪璃も笑顔になるぞ」


「雷雨様っ……手っ」


「ほら、走るぞ」


無邪気な笑顔で走り出す雷雨様。出会った頃と変わらない。真っ直ぐな笑顔。私も楽しみにしてたけど、雷雨様も私とのデートを楽しみにしてくれた?そうだと嬉しいな。


☆   ☆   ☆


「着いたぞ。夜の遊園地も悪くないだろ!?」


雷雨様のドヤ顔。でも、雷雨様の言う通りだ。


夜だからか、イルミネーションがあちらこちらにあって、とても綺麗。でも、変だな。遊園地って、夜はあいてないよね?


「ここはヴァンパイアが経営する遊園地。だから夜限定なんだ」


「ヴァンパイアが経営してるなら、私が来るのはまずいんじゃ……」


「禁止はされてない。でも、多少は危険だから俺の側を離れるな」


「わ、わかった」


「そこまで身構えなくとも、危険なヴァンパイアはここにはいないはずだ。ここよりも治安が悪い場所にヤバい奴らはいるからな」


「そうね……」


それこそ『闇崎』のような危険区域は危険なヴァンパイアがたくさんいる。

だからこそ、ヴァンパイアは怖いというイメージがいつまでも付きまとうのだろう。


ヴァンパイアの中でも優しい人や人間との共存を望む者も多くいるというのに。