うそ。まさか、あの長嶺くんが私のことを知ってくれていたなんて。
たったそれだけのことなのに、嬉しくて泣きそうになってしまう。
「はい。えっと、私……」
緊張しすぎて、声が震えそうになる。
だけど、ここまで来たらちゃんと頑張って言わなきゃ。
「あっ、あの、わ、私……!」
「うん?」
「な、長嶺くんのことが好きなんです!」
最後は早口になってしまったけど、なんとか言うべきことを言えた私は、長嶺くんの顔を見るのが怖くて下を向いてしまう。
答えは、聞かなくてももう分かっている。
だって、長嶺くんには好きな子がいるから。
それに彼は自分に告白してきた女の子のことを、いつも容赦なくバッサリと振ることで有名だったから。
今日が、私の失恋日になる。
おそらくこのあと、長嶺くんの口から発せられる言葉はきっと……。



