それから私は、放課後時間のあるときはグラウンドへとよく足を運ぶようになった。
いつも一生懸命にサッカーをする長嶺くんを、見たかったから。
いつ来ても、グラウンドは長嶺くんのファンの子たちでいっぱいで。
そんなライバルの多い中で、クラスも違う私は長嶺くんと話すなんてことはもちろんできなくて。
ただただ、彼のことを見ているだけの日々が続いた。
長嶺くんと初めて話したあの日のことが、あのとき自分へと向けられた彼の笑顔がずっと頭から離れなくて。
長嶺くんへの想いだけが、日に日に大きくなっていくばかり。
だから私は高校1年の秋。ついに長嶺くんに告白することに決めた。
「……話って何?」
昼休み。誰もいない校舎裏に長嶺くんを呼び出したところ、彼はちゃんと来てくれた。
「えっと、あの……」
何度も頭の中でシミュレーションをしたはずなのに。
いざ長嶺くん本人を目の前にすると、緊張してなかなか言葉が出てこなかった。
「私、1年B組の白井って言います。今日は、呼び出しちゃってごめんなさい」
クラスの違う長嶺くんと面と向かって話したのは、あの日の一度きりだったから。
もしかしたら長嶺くんは私のことを知らないかもしれないと、告白の前にまず自己紹介をする私。
「ああ、うん。君のことは知ってるよ。白井理帆ちゃんでしょ? いつもサッカー部の練習見に来てくれてるよね?」



