秘密の彼氏は、私にだけ甘すぎる



そして、約束の月曜日。


朝。私が学校の最寄り駅に着くと、改札を出たところで翔也が待っていた。


「おはよ、理帆。今日も朝から可愛いね」

「おはよう、翔也……あっ!」


翔也の鞄にはなんと、私と色違いの茶色のクマのキーホルダーがついている。


「恋人同士ならやっぱり近くにいないと、理帆の鞄のその白クマも寂しがるでしょ?」


まさか翔也がクマをつけてくれるなんて思ってもみず、自然と口角が上がってしまう。


「それじゃあ行こうか、理帆」


翔也が、当然とばかりに私に手を差し出してくる。


「えっ。繋いでいいの? 周りの人が見てるけど」


実はさっきからずっと、同じ高校の女子生徒の視線を感じていた私。

翔也のファンなのか、私をキツく睨みつけてくる子もいる。


「当たり前だろ? 理帆は俺の彼女なんだから。まぁ一番は、俺が理帆と手を繋ぎたいからなんだけど」


……嬉しいな。

少し照れくさそうな翔也を見て、頬がゆるむ。


私が翔也の手を取り、二人で歩き出そうとしたとき──。


「……あれ? 長嶺くんと白井さん?」


後ろから声がし振り返ると、そこには木村さんをはじめとする同じクラスの女子数人が立っていた。


「え。長嶺くんと白井さん、また一緒にいるの?」

「前にも街で二人一緒にいたけど……二人ってやっぱり付き合ってる?」


木村さんたちに聞かれ、翔也に交際を否定されたあの日のことが頭の中を過ぎる。


どうしよう。もし翔也にまたあのときと同じように否定されたら、私……。


怖くなった私は、ギュッと目を閉じる。