まさか、あのときの金髪の男の子が翔也だったなんて。

当時、彼の名前は聞いていなかったし。見た目や言葉遣いも今とは違ったから、全然気づかなかった。

翔也から話を聞いた私は、驚きを隠せない。


「俺たちの交際を周りに隠すことが理帆を守ることだって、ずっとそう思っていた。俺らの学校に、堀川たちの仲間がいるって話も聞いてたから。だけど……それは間違ってた」


翔也が、私の頬にそっと手を添える。


「理帆との交際を誰にも言わないことが、逆に理帆を不安にさせてしまってたんだな。沢山傷つけて、本当にごめん」

翔也……。


「俺の昔の話を聞いたら、理帆が俺から離れていくんじゃないかと思って、今までずっと言えなかった。理帆、俺のこと幻滅したよな?」

「ううん、そんなことないよ」


私は首を横に振る。


「翔也が不良だったことは、驚いたけど。それはもう過去の話でしょう? 翔也が今、誰よりも頑張っていることを私はちゃんと知ってるから。私は今も変わらず、翔也のことが好き」

「理帆……」

「私がピンチのとき、翔也が助けに来てくれて嬉しかった。人のことを殴るのは良くないけど、私のために闘ってくれる翔也はかっこよかったよ」


私は、翔也に微笑む。


「今までのこと、話してくれてありがとう。翔也が私との交際を隠していたのも、全部私のためだったんだね」


そのことが知れた今、心にずっとかかっていた靄がようやく晴れた気がする。