彼女に似合う男になりたい。
せめて、彼女と並んでも恥ずかしいと思われないような人になりたい。
だから、このままじゃダメだ。
初めてそんなことを思った俺は、中2のあの日を境に夜遊びもケンカもやめた。
学校にもちゃんと通うようになり、彼女の受験する高校を人伝に聞いた俺は、勉強も沢山頑張った。
不良だった俺が見違えるように努力する姿を見た継父は大層喜び、俺が好きなサッカーをすることも少しずつ理解してくれるようになった。
母とも遠慮せず向き合って、徐々に以前の関係へと戻っていった。
そして春。俺は無事に受験に合格し、理帆と同じ高校に入学することができた。
入学してしばらく経った頃、高校で久しぶりに理帆を見かけたとき、助けてもらったあの日と同じように俺の胸が高鳴った。
ああ、俺は……あの子のことが好きなのだとそこで確信した。
でも、自分には不良という過去があったから。彼女のことは、遠くからただ見ているだけで良いって思っていた。
ところが、高校1年の秋。
「わ、私……な、長嶺くんのことが好きなんです!」
なんと、俺は理帆から告白された。
びっくりすると同時に、理帆が頬を赤らめながら必死に想いを伝えてくれたことが嬉しくて嬉しくて。
彼女からの告白を断るなんてこと、俺にはできなかった。だから、俺は……。
「俺らが付き合ってることは、誰にも言わないで欲しいんだ」
俺のことを恨んでいる奴が未だにいるとダチから聞いていた俺は、理帆が危険な目に遭わないようにするため、俺たちの交際は周りに秘密にするよう彼女に頼んだのだった。