このとき、俺のことを助けてくれた女の子。
それが、理帆だった。
「おかえり……って! ちょっと理帆、その人は!?」
「お姉ちゃん。この人そこで倒れてたの。ひどい怪我で……」
「ほんと、大変!」
理帆は店にいたお姉さんと一緒に、俺の怪我の手当をしてくれた。
「はい。どうぞ」
そして彼女は俺をカウンター席に座らせてくれ、俺に温かいコーヒーを出してくれた。
「そうだ。このシフォンケーキも、今日は特別にサービスしちゃう」
更には、シフォンケーキまで出してくれた。
「……いらない」
「そんなこと言わないで食べてみて。どうしても食べられないって言うのなら、私が食べさせてあげようか?」
「は? 自分で食えるわ」
何なんだよ、この女。
渋々、シフォンケーキを口にする俺。
「……美味い」
「でしょ? お母さんの作るシフォンケーキは、世界一だからね。もっと食べて」
そう言って笑う彼女の顔が眩しくて。
すごく可愛くて。
さっきから、胸のドキドキが止まらない。
「痛みが引かなかったら、ちゃんと病院行ってね?」
「あっ、ああ」
道端で倒れている俺を他の人は見て見ぬふりをしていく中、理帆だけが声をかけてくれた。
そんな優しい彼女に、このとき俺は強く惹かれたんだ。



