俺の両親は、俺が3歳の頃に離婚した。


それ以来、母が女手一つで俺のことを育ててくれた。


暮らしは決して裕福ではなかったが、俺には料理上手で優しい母親がいてくれたし。

幼稚園の頃に始めた大好きなサッカーがあったから、俺はそれだけで十分幸せだった。


だが、俺が小学校に入学する頃、母親が再婚した。


「翔也。こちら、長嶺さん。あなたの新しいお父さんよ」

「初めまして、翔也くん」


母の再婚相手の長嶺さんは大手不動産会社の社長で、所謂お金持ちだった。


今まで暮らしていたアパートから豪邸へと引っ越し、小学校も公立から私立の学校へと転校させられた。


子供がいなかった長嶺さんは『君が俺の後継者だ』と、俺に期待していたらしい。


彼は口を開けばいつも俺に『勉強しなさい』と言い、教養を身につけるためだと、英会話をはじめ、やりたくもない習い事を沢山させられた。

嫌だったけど、俺が頑張ると母さんが喜んでくれたし、何より俺には大好きなサッカーがあったから頑張れた。


だが、それから3年後。

俺を取り巻く環境は、一変する。