「おい、理帆。大丈夫か!?」

「こっ、怖かった……うぅ」


私は、ポロポロと涙が溢れて止まらなくなる。


「ごめんな。俺のせいで、理帆を怖い目に遭わせてしまって……」

「うっ、う……ひっく」

「本当にごめん。ごめんな……」


翔也が私を、真正面からギュッと強く抱きしめてくれる。


「今まで話してなかったけど。実は俺……昔、あいつらと同じ不良だったんだ」

「え!? ふ、不良!?」


驚きのあまり、目元の涙も引っ込んでしまう。


「何それ。何かの冗談!?」


私の言葉に、翔也は首を横に振る。


「俺、中学の頃は毎日ケンカばっかしてたから。さっきの奴らを含め、俺のことを恨んでる奴は多くてさ」


う、うそ。あの優等生の翔也が、毎日ケンカしてたなんて。信じられない。


「だから……さっきみたいに理帆を危険に晒すのが嫌で俺は、今まで理帆と付き合ってることを誰にも言いたくなかったんだ」


……ダメだ。話が衝撃すぎて、頭が全然追いつかない。


「ねぇ、翔也。昔不良だったとか、突然そんなことを言われても私、すぐには信じられないよ」

「ああ、そうだよな。急にこんな話してごめん」


翔也が優しく、私の頭を撫でる。


「それじゃあ、今からちゃんと話すよ。俺の過去のことも、理帆と出会ったときのことも。全部、一からちゃんと話すから。理帆……聞いてくれる?」