「……俺も、好きだよ」
「え?」
「俺もずっと、白井さんのことが好きだった」
……へ?
長嶺くんに振られるとばかり思っていた私は、まさかの答えに呆気にとられる。
「う、うそだよね?」
「なんで? うそじゃないけど」
「だって、長嶺くんには好きな子がいるって噂で……」
「ああ。それは、白井さんのことだけど」
「ええ!?」
びっくりしすぎて声が大きくなる私とは反対に、さっきからずっと平然としたままの長嶺くん。
「そんなに驚くこと?」
「そりゃあそうだよ。だって皆から人気者の長嶺くんが、私のことを好きだなんて信じられなくて」
「それじゃあ、こうすれば信じてくれる?」
そう言って長嶺くんは、私をぎゅっと抱きしめてくる。
少し肌寒くなってきた今、制服越しに伝わる長嶺くんの温もりが心地よい。
「俺は白井さんのこと、ほんとに好きだよ。だから、俺と付き合って欲しい」
「……っ、はい」
高校1年の秋。両想いとなった私たちは、こうして付き合うことになった。
ただ……。



