其処で見たのは、机に座り頭を抱え込む少年の姿。

具現化した文字が濁流と化し、今まさに彼を飲み込まんとする。

慌ててサキュバスは空を駆け、間一髪で彼を抱え上げて濁流から救出した。


「駄目だよ、逃げたら怒られちゃう…。」

涙目で言う少年に、サキュバスは頬に口づけを落とす。

「いいじゃないの、愉しんだって♪」

妖艶な色を覗かせる笑みを浮かべた瞬間、雷鳴の如き声が落ちてきた。