初恋からの卒業



スマホを見ると、こーちゃんからメッセージが届いていた。


【環奈、高校卒業おめでとう!】


こーちゃん。結婚式前なのに、わざわざメッセージ送ってくれたんだ。別に良かったのに。

こんなときまで、こーちゃんらしいな。


私は、廊下の窓の外に目をやる。


こーちゃんの結婚式も、もうすぐ始まる頃だろうか。こーちゃんのタキシード姿、きっとかっこいいだろうな。


今日は私とこーちゃん、二人にとって大切な門出の日。


「こーちゃん。改めて、結婚おめでとう」


ポツリと一人呟くと、ヒュウッと風が吹き窓のそばの桜の木が静かに揺れる。


「あっ」


桜の蕾がほんの少し膨らんでいるのが見え、私は微笑む。

風はまだ少し冷たくとも、春は確実にもうすぐそこまで来ている。


「白井ーっ! 何やってんだよ。早く来ないと、置いてくぞー」

「待って。今行く!」


私は笑顔で、山科くんの元へと駆け出した。


end.