1時間ほど経った頃、東雲碧が目を覚ました。
解熱剤が効いてきたのか、帰ってきた時に比べると落ち着いた様子だ。
「……なんで、お前が」
驚いたような顔をして起き上がる東雲碧にこちらが驚きだ。
「まさか覚えてないの?」
「…マネージャーに送ってもらったところまでしか記憶がない」
やばいじゃん…。
あんなにちゃんと会話もしてたのに、記憶がないなんて。
ほんとに救急車呼ばなくて正解だったのかな…。
「今何時?」
「まだ8時。晩ごはんは?何か食べれそう?」
「んー…」
ぼんやりとした返事。
いつもの鋭い目と正反対の、とろんとした目。
のそのそと立ち上がり、ふらつきながら冷蔵庫へ向かう姿は、東雲碧らしくない。
「何か買ってこようか?」
「……ん」
「何食べたい?」
「…うどん…」
……。
不覚にも、可愛いと思ってしまった…。
危ない危ない。
可愛いわけがあるか。
「買ってくるから寝てて」
私の言葉は無視して玄関の方へ向う東雲碧。



