性悪毒舌アイドルと甘すぎる日常を。

本当は口悪いクセに、いい顔しちゃって。


私の方は一度も向いてくれないのもムカつく。


私には王子様スマイル振りまいてくれないわけ?


「碧くん、体調はもう大丈夫なんですか…?」


「うん、大丈夫だよ。心配ありがとう」


ニセ王子様がサインペンを受け取り、慣れた手付きでサインを書く。


「ミユイってどんな字?」


「木の実の実に、結婚の結です」


「おっけー。…はい、これでいいかな?」


自分の名前入りのサインを貰った実結は、顔を真っ赤にして嬉しそうに笑っている。


「ありがとうございます!!」


よかった。


こんなに嬉しそうな実結、久しぶりに見た。


「じゃあ、またあとでスタジオでね。撮影始まるまで少し待つことになるけど、大丈夫?」


「はい!何時間でも待ちます!」


実結の勢いに、またフッと笑うニセ王子。


でも今度の笑い方は素の笑い方だ。


ニセ王子がスッと目配せしてきて、何か言いたげにしている。


「では、牧高さんはこちらへ。先にスタジオへご案内します」


緊張がほぐれたのか、実結がパチッとウインクして楽屋を出ていく。


“がんばれ”のエールだろうか。