「花音は飛びたいって思ったこと、ある?」
俺もなんとなくその話に乗っかって、そんなことを聞いてしまった。
花音は「んー…?」と考えるように斜め上を見上げてから、もう一度ペンギンを見つめる。
「あるよ。ていうか、去年まではずっと思ってたかも」
「…そうなの?」
「うん。ほら、窓から空を見上げて、飛んでる鳥を見つけると」
なんで飛びたいの? とは、聞けなかった。
だって、“去年まではずっと思ってたよ”って、過去形だったから。
「あ、でもね。今はそうでもない…っていうか」
「……どうして?」
「尊くんがいるからかな」
ふわっと笑う花音の周りには、花が浮いてるようにすら見える。
…なんだそれ。
俺と関わるようになって考え方が変わったって言ってるように聞こえる。



