【完】溺愛禁止令




いいよ、って言いながらこころちゃんの教科書を覗き込もうとしたら、突然。



どんっ、て、わたしの机が揺れた。




「わっ…!?」



驚いて心臓が止まるかと思った。
焦って前を向くと、クラスメイトの男の子がわたしの机に手をついてる。



…というか、この人。




「おはよ!」


「…え? あ、はい…おはよう、ございます」


「俺、さっきぶつかっちゃった鈴江絃(すずえ いと)。ごめんね、怪我とかない?」





鈴江…くん。
サラッとした黒髪が揺れる。
笑顔が眩しい。わたしと正反対っていうのは、まさにこういう人のことを言う。



わたしが陰なら、鈴江くんは太陽。
明るすぎて直視できない。